難治性外耳炎に対し初期に外科適応と判断した症例

2019年07月25日

難治性の外・中耳炎のため外耳道切除術を行った犬の紹介です
症例は3歳齢のイングリッシュ・コッカ―スパニエル犬です
1歳齢の頃から化膿性の外耳炎を繰り返し、洗浄・外用薬・内服薬を使いコントロールを試みましたが再発を繰り返していました。
外耳炎で診察を受ける犬は多くいます。
多くは短期的な治療で治りますが、再発を繰り返す症例は少なくありません。その際には、難治性となっている原因を探し、治療をしていくことになります。
アレルギー、ホルモン分泌低下症、耐性菌、ポリープなど原因となるトラブルは多くあります。
今回の症例も治療を行いながら原因となる疾患を除外していきましたが改善せず、スパニエル系という犬種が難治性の外耳炎を起こす犬種として知られているため、手術の適応と判断しました。
今回行った手術は犬の耳道の一部を切除し、通気性や管理性を上げるための外耳道切除術です

術前の様子

耳鏡での様子:外耳道に強い炎症が起きています

術中写真:犬の耳道は垂直耳道と水平耳道からなっています
今回は垂直耳道の切除を行うので、耳道移行部の位置を
確認し切除範囲を決めます

術中写真:垂直耳道を切開し折り返しているところです
丸で囲われている部分が新しく耳の穴となるところです

手術終了時
傷を縫い合わせ新しい入り口が形成されました

抜糸後の写真
傷は問題なく融合しました

外耳炎は命に関わる病気ではないため手術の決断がしづらい疾患ではありますが、経過が長くなると外耳道を構成する軟骨の骨化や、粘膜の潰瘍化などが起こり術後の癒合不全などの合併症を起こすリスクが高まります。
また、外耳道を切除する範囲も広がり顔面神経麻痺のリスクなどもでてきます。
今回の症例でも軽度の骨化や粘膜の潰瘍化は見られましたが、比較的早期に手術を行えたため術後の経過も良好でした。

外耳炎は耳だけの問題として思われがちですが、皮膚全体のトラブル、内分泌によるもの、食事性、遺伝的素因など体全体を診る必要性もでてきます。
当院でも耳以外の診察をしたり、定期的な通院による耳の洗浄を行うことなどで完治はしないものの維持できる症例が多く、外科適応までいく症例は少ないです。
今回のように遺伝的素因があるため早期に外科対応の必要がでるなど、思いがけない要因が外耳炎に絡んでいることがありますので、外耳炎の治療時には耳以外のことでも気づくことがあればご相談ください

獣医師 湯藤