胃腸内異物

2019年10月12日

異物による腸閉塞のため、開腹手術にて摘出した症例です。

症例は2歳のM.シュナウザーです。
嘔吐や主訴に他院を受診されましたが、はっきりした原因が分からず、
異物の可能性を指摘されたとの事で、催吐処置や内視鏡検査のご希望があり
来院されました。

嘔吐は様々な病気で起こってくる症状の1つです。
そのため、検査により原因を探り、治療法を見つける必要があります。

まず行った血液検査では、CRP(炎症マーカー)の軽度上昇はありましたが、その他は大きな異常はみられませんでした。
次に、レントゲン検査、エコー検査を実施しました。
レントゲン検査では明らかに映るような異物はありませんでした。

また、エコー検査では胃内に液体貯留が認められ、胃から腸にかけて異物らしき物が確認できました。
以上の検査、年齢や症状から考えても、異物による閉塞の可能性が高いと考えられました。

レントゲン検査で映らない異物の場合でも、レントゲン造影検査で異物かどうか診断できることもあるため実施しました。
この検査は、造影剤(バリウム)を投与し、その流れ方を時間ごとにみていきます

バリウム投与直後

通常、バリウムは胃内に入ってから1~4時間で排出されますが、4時間後のレントゲン写真でまだ胃内に沢山のバリウムが残っています。

バリウム投与1時間半後

4時間後のレントゲン

翌朝のレントゲンでも、バリウムが停滞し、流れが悪いことが分かります。
時間が経過しても、形の変わらないバリウム陰影が異物です。

以上の検査により、胃から小腸にかけて異物が存在することが分かり、開腹手術が適応となりました。
小腸を切開し異物にアプローチしましたが、異物が胃内にまでつながってしまっており、容易に取り出すことが出来ず、胃切開も行っての摘出となりました。

今回摘出した異物は、赤ちゃん用のお尻拭きでした。
そのため、比較的丈夫な繊維でできており、溶けたり破れたりもなく、
また飲み込んでいる量も多かったため、詰まってしまいました。
摘出した異物

異物があった場合の治療法としては、催吐処置、内視鏡による摘出、外科的開腹手術が挙げられますが、前者2つにおいては胃内に異物がある場合に適応となります。
今回の症例の場合、連続的な嘔吐が起こっていたため、胃より先の腸管に流れてしまっている可能性が考えられ、催吐処置や内視鏡での摘出は難しいと思われました。
レントゲン検査で映らない異物でしたが、レントゲン造影検査を行ったことで、異物の存在や閉塞している部位を明らかにすることができ、早い段階で開腹手術に踏み切ることができました。

獣医師 川口

外陰部腫瘤により細菌性膀胱炎を繰り返した症例

2019年10月12日

症例プロフィール:ゴールデンレトリーバー
避妊雌 9歳4か月
既往歴:
変形性関節症による間欠的な股関節痛(体重管理、グルコサミン・コンドロイチン補充治療中)
左浅頚部の皮膚肥満細胞腫(外科摘出済み、パトネックグレードII、経過観察中)

主訴:
細菌性膀胱炎に起因する頻尿・血尿の症状に対して内科治療を行うも、治療終了後数週間で症状の再発を繰り返していた。

検査:
尿検査:
レントゲン検査:
超音波検査:
膀胱粘膜にわずかな肥厚は認めるが、明らかな腫瘤病変はなし
膀胱結石なし
その他の腹腔内臓器には著変なし

経過:
尿中細菌の培養結果に基づいた抗菌剤の投与、および尿路ケア用のフードに変更と猪苓湯による治療を行った。治療開始直後から治療中の症状は改善し、尿検査所見も正常化したため、一定期間の治療後に抗菌剤は休薬とした。しかし休薬後約1週間で膀胱炎の症状が再発していた。
再度身体チェックをおこなったところ、外陰部の内側に2cm大の硬い黒色腫瘤が確認された。腫瘤は膣の内腔を占拠している状態であった。

手術:
診断・治療を目的に、外陰部腫瘤の外科摘出を行った。

会陰切開で腫瘤全体の視野を確保し、腫瘤を摘出。

摘出後の腫瘤は病理学的検査を依頼した。

病理結果:
メラノサイトーマ
表皮直下から真皮から深部にかけてメラニン色素を含有するメラノサイト由来の腫瘍細胞が充実性に増殖している。腫瘍と周囲の境界は明瞭な部分と不明瞭な部分が混在している。悪性黒色腫に頻繁に認められる腫瘍細胞の表皮内増殖性は認められない。腫瘍細胞の核には多少の大小不同はあるが、核小体は小さく異型性は認められない。核分裂像は10視野当たり2~3個程度で、異常分裂像は確認されなかった。脈管浸潤は確認されなかった。

判断:
⇒悪性腫瘍との鑑別は難しいが、病理学的検査の結果から良性の腫瘍と判断した。外陰部の皮膚に発生した腫瘤が膣方向に拡大しているが、切除マージンは良好であるため、再発がないか経過観察とした。

考察:
腫瘍切除後は細菌性膀胱炎の治療も引き続き行ったが、現在は抗菌剤治療終了後も膀胱炎は再発せず経過は順調である。以上の経過から、膣の内腔が腫瘍によって物理的に占拠されていたことが、細菌増殖の温床となり、かつ膀胱炎の再発の原因になっていたと推測した。
実は今回ご紹介した本症例は、当院のアシスタントのライフです。今まで輸血で血液供給するためのドナー犬として、我々と一緒に患者様の治療に携わってきましたが、ドナーとしては引退することになりました。今後は身体の治療を最優先に、スタッフと一緒に頑張っていきたいと思います!

獣医師 吉村

犬のぶどう膜炎

2019年07月26日

今回は犬のぶどう膜炎について解説致します。
まず最初にぶどう膜とは「虹彩」・「毛様体」・「脈絡膜」を合わせた部位であり、その名の通り葡萄の皮のような色合いをしています。ぶどう膜は血管が豊富な組織であり、目に必要な栄養を供給する役割をしています。また全身の血液から目に有害な物質が入らないよう「関門」としての役割もあるとても大事な組織です。今回はそのぶどう膜に炎症が起こった際に見られる症状と実際にぶどう膜炎が見られた症例について解説致します。

症例
ミニチュアシュナウザーの1例
主訴:右眼をしょぼしょぼしている。同居犬の爪が当たってしまったかもしれない。
眼科検査所見
右眼の毛様充血、縮瞳、中程度の前房フレア、眼圧値正常、水晶体異常なし。眼超音波検査においても明らかな眼内腫瘤や網膜剥離はみられない。

左の写真では瞬膜の突出がみられており、右の写真では角膜と虹彩の間にある前房が白く混濁して見られます。下の右の図では反対の炎症が起こっていない眼ですが、前房が黒く写っています。前房は眼房水という透明な液体で満たされているため、光を当てても反射に影響しないため黒く写ります。しかし眼の中に炎症が生じると眼房水に炎症細胞などが浮遊するため光を反射し白く混濁してみられます。

これらの所見から、右眼のぶどう膜炎が生じていることがわかりました。そこでぶどう膜炎を起こす原因について考えなければいけないのですが

ぶどう膜炎の原因はこのように様々な原因によって起こります。そのため一つ一つ原因になりうる疾患を除外しながら、治療を考えなければいけません。
今回の症例では外傷性が疑われますが、明らかな外傷の痕跡がみられないため特発性の可能性も考えられます。
治療としては炎症を抑える点眼を使用して、2日後に様子を見ることに致しました。
2日後には症状がだいぶ軽減されたようですが、まだ炎症は残っていました。

左の写真では炎症が軽減し疼痛が取れたため、瞬膜の突出や縮瞳が改善されていました。しかし前房フレアは残存しており、右の写真では角膜と水晶体の間に炎症細胞が白い粒のように確認できます。
点眼を継続しながら、徐々に回数を減らして様子を定期的に観察したところ、1ヶ月後には炎症もみられなかったため治療を終了としました。
今回の症例では点眼に対する反応もよく無事に治癒することができましたが、ぶどう膜炎は悪化すると緑内障や白内障、網膜剥離といった失明に至る疾患を併発する可能性があるため、早期の発見と治療がとても重要になります。そのため「眼をしょぼしょぼしている」・「白目が赤い」・「黒目が白っぽい」などの症状がみられた場合は、早めに病院に来て頂くことをお勧めします。

獣医師 小松

犬の股関節脱臼

2019年07月25日

トイプードルの6歳の男の子が昨日から足が痛そうという事で来院されました。
病院内では足を触っても痛がるそぶりが無かったですが、歩き方を見ようとしても右後肢完全挙上だったため、レントゲンを撮りました。

右後肢の股関節脱臼が認められます。尾腹側脱臼です。(赤丸部分) 
また、今回の症状とは関係ありませんが膀胱内に結石が認められます。(矢印部分) 

股関節脱臼で発生率が一番高いとされるのは下のレントゲンのような頭背側方向の脱臼です。

同じ股関節脱臼ですが、今回の症例である腹尾側脱臼とは整復方法やその後の固定方法が異なります。
股関節脱臼は、大腿骨の骨頭が骨盤の寛骨臼から外れてしまった状態になることです。外傷性の股関節脱臼は、交通事故や落下などによって起こる事が多いです。
今回の症例は、遊んでいたときにびっくりしてこけてから足を痛そうにしているとのことでした。
股関節脱臼の治療には、手術をしないで整復し固定する方法と手術による方法があります。
今回は初めての脱臼という事と、脱臼してから時間がそんなに経っていなかったため、手術をせずに整復する方法をとりました。

麻酔下で無事に整復が成功しました。

整復後は包帯で固定します

尾腹側脱臼の場合の固定

頭背側脱臼の場合の固定

ただし、整復ですぐに戻せる脱臼はまた外れてしまうことも多く、再発する場合には、基本的には手術が推奨されます。

獣医師 中島

難治性外耳炎に対し初期に外科適応と判断した症例

2019年07月25日

難治性の外・中耳炎のため外耳道切除術を行った犬の紹介です
症例は3歳齢のイングリッシュ・コッカ―スパニエル犬です
1歳齢の頃から化膿性の外耳炎を繰り返し、洗浄・外用薬・内服薬を使いコントロールを試みましたが再発を繰り返していました。
外耳炎で診察を受ける犬は多くいます。
多くは短期的な治療で治りますが、再発を繰り返す症例は少なくありません。その際には、難治性となっている原因を探し、治療をしていくことになります。
アレルギー、ホルモン分泌低下症、耐性菌、ポリープなど原因となるトラブルは多くあります。
今回の症例も治療を行いながら原因となる疾患を除外していきましたが改善せず、スパニエル系という犬種が難治性の外耳炎を起こす犬種として知られているため、手術の適応と判断しました。
今回行った手術は犬の耳道の一部を切除し、通気性や管理性を上げるための外耳道切除術です

術前の様子

耳鏡での様子:外耳道に強い炎症が起きています

術中写真:犬の耳道は垂直耳道と水平耳道からなっています
今回は垂直耳道の切除を行うので、耳道移行部の位置を
確認し切除範囲を決めます

術中写真:垂直耳道を切開し折り返しているところです
丸で囲われている部分が新しく耳の穴となるところです

手術終了時
傷を縫い合わせ新しい入り口が形成されました

抜糸後の写真
傷は問題なく融合しました

外耳炎は命に関わる病気ではないため手術の決断がしづらい疾患ではありますが、経過が長くなると外耳道を構成する軟骨の骨化や、粘膜の潰瘍化などが起こり術後の癒合不全などの合併症を起こすリスクが高まります。
また、外耳道を切除する範囲も広がり顔面神経麻痺のリスクなどもでてきます。
今回の症例でも軽度の骨化や粘膜の潰瘍化は見られましたが、比較的早期に手術を行えたため術後の経過も良好でした。

外耳炎は耳だけの問題として思われがちですが、皮膚全体のトラブル、内分泌によるもの、食事性、遺伝的素因など体全体を診る必要性もでてきます。
当院でも耳以外の診察をしたり、定期的な通院による耳の洗浄を行うことなどで完治はしないものの維持できる症例が多く、外科適応までいく症例は少ないです。
今回のように遺伝的素因があるため早期に外科対応の必要がでるなど、思いがけない要因が外耳炎に絡んでいることがありますので、外耳炎の治療時には耳以外のことでも気づくことがあればご相談ください

獣医師 湯藤

犬の避妊手術

2019年07月17日

雌犬の避妊手術は、動物病院で日常的に行われている外科手術です。
それと同時に、「どうして若くて健康な犬なのに、麻酔をかけてまで手術しないといけないのですか?」と多くの質問を受ける手術でもあります。
ここでは避妊手術を行う理由と、当院の手術方法について説明したいと思います。

犬の性周期
 雌犬は、品種や飼育環境によってことなりますが、生後6~15か月で性成熟に達します。(小型犬の方が性成熟が早いと報告があります。)
そしてほとんどの犬が生後6~8か月齢時に初回の発情を迎えます。その後は平均7か月間隔で次の発情を迎えていきます。
 
避妊手術の目的
・永久的な避妊
・発情期に著しく体調を崩してしまう場合
・卵巣・子宮・膣などの疾患の治療
・乳腺腫瘍や肛門嚢腺癌などの雌性ホルモンが関与する病気の予防
・皮膚病、クッシング症候群、糖尿病などの雌性ホルモンの影響でコントロールすることができない内科疾患の治療

手術方法
 避妊手術とは、雌性ホルモンを産生する卵巣を摘出する手術です。卵巣を摘出すると子宮は経過とともに退縮していくため、避妊手術後に子宮の病気になることはありません。当院では、手術時に子宮の異常がない場合には卵巣のみを摘出する術式を用いています。

こちらは卵巣を摘出する際に使用する機械です。

卵巣周囲の動脈や静脈、脂肪組織などを焼いて止血することができます。お腹の中に縫合糸などの異物を残さずに卵巣を摘出することができるため、術後の炎症を最小限に留めることができます。また、お腹を大きく開かずに卵巣にアプローチできるため、傷口も小さくて身体への影響が最小限になるメリットもあります。手術時間も短くなります。

よくある質問
Q.避妊手術をすると肥満になりますか?
A.なります。
避妊手術後には食欲抑制効果のあるエストロジェンの分泌がなくなるので、通常は食欲が増進して肥満になりやすい傾向があります。卵巣除去後は、生体に必要なカロリーが15~20%減少するため、手術前と同じカロリーの食事を与え続けると肥満になりやすいと報告されています。

Q.避妊手術後は行動や性格に変化がでますか?
A.変化する場合もあります。
発情期が問題行動に影響している可能性があるので、問題行動を修正するために避妊手術が有効であることもあります。しかし、問題行動を示した期間が長いと手術に対する反応が悪いとの報告があるので、必ずしも改善を期待できるとは言いきれません。

Q.子宮蓄膿症とはどういう病気ですか?
A.中年齢の避妊をしていない雌に発生する病気で、子宮の中に膿が貯まる救急疾患です。
子宮蓄膿症の発生率は9歳異常の未避妊の雌で66%以上と言われています。発情後
平均8週間前後に発生する傾向があります。陰部から外の細菌が子宮の中まで侵入し、子宮の粘膜で増殖してしまいます。主な症状は元気・食欲の低下、多飲多尿、腹部膨満、発熱、陰部からの排膿などさまざまです。通常は緊急手術の適応で、治療時期を逸すると死亡することもあります。

Q.どのタイミングで避妊手術をすればいいですか?
A.手術は全身麻酔が必要になるため、当院では麻酔を安全に実施できる月齢まで成長を待ってからの手術をおすすめしています。目安は、小型犬は6カ月齢以降、大型犬は1歳以降ですが、個体によって差があるので診察にてご相談ください。

獣医師 吉村

椎間板ヘルニア

2019年06月17日

椎間板ヘルニアはダックスフントなどの胴長犬種に多い疾患です。椎間板の突出が脊髄を圧迫すると、突然麻痺がおき歩けなくなってしまいます。治療には、薬による内科的療法や手術などがあり、麻痺の程度によって使い分けをしています。手術をせずに回復する症例もかなり多く、昨年我々が学会発表したデータでは、従来のものよりかなり多くの症例で手術なしでも歩けるようになることが証明されました。
 しかし、麻痺が深刻な症例では、手術の方が回復率が高いことには変わりはありません。当院では、丁寧なインフォームドコンセントをさせていただき、手術か内科的治療かを選択しています。

今回は手術を選択した症例の紹介です。

椎間板ヘルニアは、この写真のように元気な子が、突然、四肢の麻痺を起こし動けなくなってしまう、恐ろしい疾患です。椎間板物質が飛び出ることが原因ですが、通常のレントゲンでは判断のつかないことがほとんどです。そこで造影剤を使いCTを撮ることではっきりと診断をつけることができます。

この画像はCTに写った椎間板物質を三方向から見ています。
このように造影剤を使用したCT撮影により、手術部位を的確に見つけることができます。     
手術は背骨に小さな穴をあけて、椎間板物質を取り出します。

このように、きれいに脊髄が見えれば、圧迫は解除されています。

多くの症例において、手術後は2週間から数か月で元のように走り回れるようになります。しかし、圧迫の程度と麻痺からの時間の経過によっては、10%程度の子が手術をしても完治しません。
椎間板ヘルニアは麻痺がおこってから治療までの時間と、症例にあった適切な治療方針が重要となる疾患です。
少しでも異常を感じたら、ぜひ当院へご相談ください。

獣医師 松倉

犬の尿道結石

2019年05月14日

おしっこの仕方や回数がいつもと違うなと感じたことはありませんか?
今回はそういった症状が出た症例のご紹介です。

10歳去勢済みのマルチーズの男の子です。
前日までポタポタでていたおしっこが、今日は全く出なくなったという主訴で来院されました。
この子は以前から膀胱結石があることがエコーで分かっていたため、結石を防ぐフードを食べていましたが症状がでてしまいました。

レントゲン画像です。尿道に結石があるのがわかります。
麻酔をしないで、上手くカテーテルで膀胱内に押し戻せなかったので、麻酔下で手術をして取り出すことになりました。
全身麻酔下でまずは尿道にある結石を膀胱に戻し、その後開腹し膀胱から結石を取り出しました。

結石は検査の結果、ストラバイトを中心とした三成分混合結石でした。
結石にもいくつか種類がありますが、80%はストラバイトかシュウ酸カルシウムという種類だと言われています。
ストラバイトはフードで溶かすことが出来ると言われている結石ですが、詰まってしまった場合には手術が必要になりますし、結石を取った後も新しくできてしまうことを防ぐため、療養食のフードは続けていただく必要があります。

おしっこは一日出ないだけで全身状態に影響し、命に関わってきます。
おしっこの回数、色、出方が普段と違うなと感じた時はすぐにご相談ください。

獣医師 中島

呼吸音の異常

2019年04月22日

プロフィール
シェットランドシープドック、避妊済みメス、15歳6ヶ月。
病歴
食欲低下、震え、呼吸音がおかしいとの主訴で来院。
40℃の発熱も認められた。
検査
血液検査にて、CRP(炎症マーカー)の上昇、感染所見が認められた。
レントゲン検査を行う。


  
肺野全体に不透過性亢進がみられた。

診断・治療
細菌性肺炎を疑い抗生物質の治療を開始。

経過
治療開始2日目より、熱も下がり、呼吸も徐々に改善がみられた。
治療開始4日目の血液検査ではCRPの低下も認められ、食欲も回復してきた。
治療開始13日目の血液検査ではCRPは正常値まで下がり、
レントゲン検査でも改善が認められた。


肺炎の原因は色々ありますが、今回のケースは抗生物質に良好に反応がみられたため、
細菌感染が原因と思われました。
早期の治療で、回復も早く、食欲も出て元気になりました。

獣医師 川口

眼の違和感

2019年04月15日

数日前から右目のまばたきが多いことがあり、時々右目が
小さくなっていることがある、ということで来院された、シーズーです。
シーズーは眼のトラブルが多い犬種のひとつです。
この子も、今までに眼の表面に傷がついて治療をしたことがありました。

初回の診察では、涙は多いものの充血は軽度、傷も見られなかったので抗生物質の点眼をしながら様子を見ることにしました。
その後、悪化することはないもののやはり眼の違和感が続いているということで再度、診察となりました。 

 
  
やはり充血は軽度で、表面上は傷も認められませんでした。


   
しかし上のまぶたをめくると、小さなできものが見つかりました。
できものから、分泌物がでているように見えます。
このしこりが眼にあたり、違和感を生じさせているのではないかということで、検査も兼ね切開することにしました。
とても大人しくできたので、眼の表面麻酔点眼のみで切開、内容物の除去を行えました。 

 
    
切開すると中からにゅるにゅると分泌物が出てきて、
最終的にはこんなに平らになりました。


    

今回のしこりは、おそらくマイボーム腺という眼の潤いに必要な分泌物を出している腺がつまってしまったものだと思われます。
犬の眼のトラブルとしては決して珍しいものではありませんが、多くは瞼の上に、わかりやすいしこりとしてできます。
今回の様な瞼の裏にできることは珍しいので無事に発見、切除できてよかったですが、今後再発に注意が必要になります。

獣医師 湯藤