外陰部腫瘤により細菌性膀胱炎を繰り返した症例

2019年10月12日

症例プロフィール:ゴールデンレトリーバー
避妊雌 9歳4か月
既往歴:
変形性関節症による間欠的な股関節痛(体重管理、グルコサミン・コンドロイチン補充治療中)
左浅頚部の皮膚肥満細胞腫(外科摘出済み、パトネックグレードII、経過観察中)

主訴:
細菌性膀胱炎に起因する頻尿・血尿の症状に対して内科治療を行うも、治療終了後数週間で症状の再発を繰り返していた。

検査:
尿検査:
レントゲン検査:
超音波検査:
膀胱粘膜にわずかな肥厚は認めるが、明らかな腫瘤病変はなし
膀胱結石なし
その他の腹腔内臓器には著変なし

経過:
尿中細菌の培養結果に基づいた抗菌剤の投与、および尿路ケア用のフードに変更と猪苓湯による治療を行った。治療開始直後から治療中の症状は改善し、尿検査所見も正常化したため、一定期間の治療後に抗菌剤は休薬とした。しかし休薬後約1週間で膀胱炎の症状が再発していた。
再度身体チェックをおこなったところ、外陰部の内側に2cm大の硬い黒色腫瘤が確認された。腫瘤は膣の内腔を占拠している状態であった。

手術:
診断・治療を目的に、外陰部腫瘤の外科摘出を行った。

会陰切開で腫瘤全体の視野を確保し、腫瘤を摘出。

摘出後の腫瘤は病理学的検査を依頼した。

病理結果:
メラノサイトーマ
表皮直下から真皮から深部にかけてメラニン色素を含有するメラノサイト由来の腫瘍細胞が充実性に増殖している。腫瘍と周囲の境界は明瞭な部分と不明瞭な部分が混在している。悪性黒色腫に頻繁に認められる腫瘍細胞の表皮内増殖性は認められない。腫瘍細胞の核には多少の大小不同はあるが、核小体は小さく異型性は認められない。核分裂像は10視野当たり2~3個程度で、異常分裂像は確認されなかった。脈管浸潤は確認されなかった。

判断:
⇒悪性腫瘍との鑑別は難しいが、病理学的検査の結果から良性の腫瘍と判断した。外陰部の皮膚に発生した腫瘤が膣方向に拡大しているが、切除マージンは良好であるため、再発がないか経過観察とした。

考察:
腫瘍切除後は細菌性膀胱炎の治療も引き続き行ったが、現在は抗菌剤治療終了後も膀胱炎は再発せず経過は順調である。以上の経過から、膣の内腔が腫瘍によって物理的に占拠されていたことが、細菌増殖の温床となり、かつ膀胱炎の再発の原因になっていたと推測した。
実は今回ご紹介した本症例は、当院のアシスタントのライフです。今まで輸血で血液供給するためのドナー犬として、我々と一緒に患者様の治療に携わってきましたが、ドナーとしては引退することになりました。今後は身体の治療を最優先に、スタッフと一緒に頑張っていきたいと思います!

獣医師 吉村

犬の尿道結石

2019年05月14日

おしっこの仕方や回数がいつもと違うなと感じたことはありませんか?
今回はそういった症状が出た症例のご紹介です。

10歳去勢済みのマルチーズの男の子です。
前日までポタポタでていたおしっこが、今日は全く出なくなったという主訴で来院されました。
この子は以前から膀胱結石があることがエコーで分かっていたため、結石を防ぐフードを食べていましたが症状がでてしまいました。

レントゲン画像です。尿道に結石があるのがわかります。
麻酔をしないで、上手くカテーテルで膀胱内に押し戻せなかったので、麻酔下で手術をして取り出すことになりました。
全身麻酔下でまずは尿道にある結石を膀胱に戻し、その後開腹し膀胱から結石を取り出しました。

結石は検査の結果、ストラバイトを中心とした三成分混合結石でした。
結石にもいくつか種類がありますが、80%はストラバイトかシュウ酸カルシウムという種類だと言われています。
ストラバイトはフードで溶かすことが出来ると言われている結石ですが、詰まってしまった場合には手術が必要になりますし、結石を取った後も新しくできてしまうことを防ぐため、療養食のフードは続けていただく必要があります。

おしっこは一日出ないだけで全身状態に影響し、命に関わってきます。
おしっこの回数、色、出方が普段と違うなと感じた時はすぐにご相談ください。

獣医師 中島