犬の避妊手術

2019年07月17日

雌犬の避妊手術は、動物病院で日常的に行われている外科手術です。
それと同時に、「どうして若くて健康な犬なのに、麻酔をかけてまで手術しないといけないのですか?」と多くの質問を受ける手術でもあります。
ここでは避妊手術を行う理由と、当院の手術方法について説明したいと思います。

犬の性周期
 雌犬は、品種や飼育環境によってことなりますが、生後6~15か月で性成熟に達します。(小型犬の方が性成熟が早いと報告があります。)
そしてほとんどの犬が生後6~8か月齢時に初回の発情を迎えます。その後は平均7か月間隔で次の発情を迎えていきます。
 
避妊手術の目的
・永久的な避妊
・発情期に著しく体調を崩してしまう場合
・卵巣・子宮・膣などの疾患の治療
・乳腺腫瘍や肛門嚢腺癌などの雌性ホルモンが関与する病気の予防
・皮膚病、クッシング症候群、糖尿病などの雌性ホルモンの影響でコントロールすることができない内科疾患の治療

手術方法
 避妊手術とは、雌性ホルモンを産生する卵巣を摘出する手術です。卵巣を摘出すると子宮は経過とともに退縮していくため、避妊手術後に子宮の病気になることはありません。当院では、手術時に子宮の異常がない場合には卵巣のみを摘出する術式を用いています。

こちらは卵巣を摘出する際に使用する機械です。

卵巣周囲の動脈や静脈、脂肪組織などを焼いて止血することができます。お腹の中に縫合糸などの異物を残さずに卵巣を摘出することができるため、術後の炎症を最小限に留めることができます。また、お腹を大きく開かずに卵巣にアプローチできるため、傷口も小さくて身体への影響が最小限になるメリットもあります。手術時間も短くなります。

よくある質問
Q.避妊手術をすると肥満になりますか?
A.なります。
避妊手術後には食欲抑制効果のあるエストロジェンの分泌がなくなるので、通常は食欲が増進して肥満になりやすい傾向があります。卵巣除去後は、生体に必要なカロリーが15~20%減少するため、手術前と同じカロリーの食事を与え続けると肥満になりやすいと報告されています。

Q.避妊手術後は行動や性格に変化がでますか?
A.変化する場合もあります。
発情期が問題行動に影響している可能性があるので、問題行動を修正するために避妊手術が有効であることもあります。しかし、問題行動を示した期間が長いと手術に対する反応が悪いとの報告があるので、必ずしも改善を期待できるとは言いきれません。

Q.子宮蓄膿症とはどういう病気ですか?
A.中年齢の避妊をしていない雌に発生する病気で、子宮の中に膿が貯まる救急疾患です。
子宮蓄膿症の発生率は9歳異常の未避妊の雌で66%以上と言われています。発情後
平均8週間前後に発生する傾向があります。陰部から外の細菌が子宮の中まで侵入し、子宮の粘膜で増殖してしまいます。主な症状は元気・食欲の低下、多飲多尿、腹部膨満、発熱、陰部からの排膿などさまざまです。通常は緊急手術の適応で、治療時期を逸すると死亡することもあります。

Q.どのタイミングで避妊手術をすればいいですか?
A.手術は全身麻酔が必要になるため、当院では麻酔を安全に実施できる月齢まで成長を待ってからの手術をおすすめしています。目安は、小型犬は6カ月齢以降、大型犬は1歳以降ですが、個体によって差があるので診察にてご相談ください。

獣医師 吉村

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