慢性鼻炎の犬猫とネブライザー

2019年10月12日

今回は慢性的に鼻炎を繰り返す猫への、ネブライザー療法をご紹介します。

当院で使用しているネブライザー

吸入薬を霧状にし、鼻腔や気管に届けます。吸入薬は経口薬よりも少ない量で効果をだすことができます。
犬猫は人のように吸入部分を口に当てて吸い込むことができないため、当院では狭い部屋の中を霧で満たすことで対応しています。時間としては一回あたり15分〜20分程度で、お預かりして行うことが多いです。

【症例】
13歳 去勢済み オス猫
主訴:元気食欲はあるが、数日前からくしゃみをしいる
   くしゃみの回数と鼻水の量が増えてきて、鼻水の色が透明から黄色くなってきた
既往歴:尿石症(フードでコントロール中)
    以前にも鼻炎症状でたことがあるが、点鼻薬ですぐに改善
身体検査:発熱、体重減少などなし
     鼻鏡に傷、顔面の変形などはない
血液検査:異常なし
レントゲン検査:頭部胸部ともに異常なし
鼻汁の塗抹検査:好中球 ++ 好酸球 – 細菌 –

治療:検査で異常が認められなかったため、抗生物質の点鼻、ネブライザー、抗生物質の
内服を開始
   くしゃみの回数、鼻汁の量共に多かったため、ネブライザーは3日間連続で実施
治療4日目:くしゃみ、鼻汁ともにかなり減ってきたということでネブライザー
      は1日〜2日おきに減らし、あと一週間行うこととする
治療7日目:経過良好、抗生物質の内服を終了
治療11日目:症状はほぼなくなったのでネブライザーをやめ、点鼻薬のみにする
治療15日目:点鼻薬終了

治療当初にネブライザーを連日して行えたこともあり症状の改善はすぐにみられ、内服も最低限で終わらすことができました。しかし、治療終了から一ヶ月で同様の症状が再発してしまい、その後も治療に反応して良くなるもの鼻炎症状を繰り返すようになりました。
そこで症状が改善した後も定期的なネブライザーを行うようにしたところ、症状をコントロールできるようになっています。

犬猫の慢性鼻炎の原因として、口腔内環境の悪化によるもの、免疫介在性、ウイルス関連性、アレルギー性そして鼻腔内腫瘍など多くの疾患が考えられます。当院では検査結果や、治療への反応性などからどのような治療が適しているか常に判断しながら、必要であれば各種内服薬の処方もおこないますが、不要な内服薬処方を減らすため、また不快な鼻腔症状を素早く改善するためにネブライザーは有効な治療法であると考えています。
また、犬猫ともに鼻腔内腫瘍で苦しむ症例は少なくありません。腫瘍に対する根本的な治療はもちろん別に必要となりますが、ネブライザーを併用することで鼻腔内のつまり解消による食欲改善や、呼吸状態の改善などの効果が期待できることがあります。

ネブライザー治療は高頻度の通院が必要になるために、なかなか難しいこともあると思いますが、お預かり時間を長くすることで1日に2回ネブライザーを行うなど、対処できることもあると思います。是非ご相談ください。

獣医師 湯藤

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