犬のレプトスピラ症|横浜市磯子区の動物病院「洋光台ペットクリニック」

症例紹介

犬のレプトスピラ症

犬のレプトスピラ症はレプトスピラ属細菌によって引き起こされる人獣共通感染症で、致死率の高い感染症です。この感染症は比較的温暖な地域で発生しており、発生地域が年々北上してきています。レプトスピラ菌は主にネズミが保菌動物で、土壌や水辺などがネズミの尿によって汚染され人や犬が触れることによって感染が成立します。

このレプトスピラ症の主な症状は発熱、消化器症状、黄疸、貧血、充血、肝障害や腎障害です。 本症は治療が遅れると重症化し腎不全、肝不全、DIC(播種性血管内凝固症候群)になり、死亡することがあります。

犬のレプトスピラ症では黄疸が認められます

 

 

今回紹介する症例は以下の通りです。

 

【症例】

ゴールデンレトリーバー 4歳 未避妊メス

 

【主訴】

来院前日のお昼からぐったりしており、発熱、嘔吐、下痢、流涎が認められる。

 

【検査とその結果】

血液検査を実施し、貧血、血小板数低下、炎症マーカー、肝および腎数値の高値、黄疸も認められる。 その後、外部機関のレプトスピラIgG抗体検査により基準値を大幅に上回る抗体の検出。 以上より、本症例をレプトスピラ症と診断いたしました。

 

【治療】 初期治療として抗菌薬と抗血栓薬、胃腸薬を連日皮下点滴しました。 食欲が戻り、お薬が飲めるようになったら飲み薬に切り替え、数日に一回の通院になりました。

 

前述の症状が見られた場合は速やかに近くの動物病院での検査をお勧めします。 予防に関しては、お住まいの地域や環境にもよりますが、一年に一度レプトスピラ症に対するワクチンを含んだ7、8、10種混合ワクチンがございますので、ご検討されてみてもいいかもしれません。この混合ワクチンの種類の違いは、レプトスピラ菌の血清型をどれだけ含んでいるかによって数字が異なります。

 

当院では8種の混合ワクチンを取り扱っています。また、このようなワクチンはメリットだけでなくデメリット(副反応やレプトスピラの血清型によりワクチンが無効だったこと等)もございますので詳しくは獣医師までご相談ください。 感染した犬の場合、その犬の体液や血液、尿などが感染源となり、回復した犬でも長期の排菌がみられることから、触れるリスクがある飼い主さんはマスクや手洗い、消毒を随時行うようお願い致します。

 

獣医師 山口

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