抗がん剤(分子標的薬)による治療|横浜市磯子区の動物病院「洋光台ペットクリニック」

症例紹介

抗がん剤(分子標的薬)による治療

分子標的薬

 

分子標的薬とは、がん細胞だけに発現している部分を標的にとして、異常な分裂や増殖を抑えることを目的とした治療薬です。がん細胞だけを狙い撃ちするので、正常な細胞への影響が少なく、体への負担が少なくなっています。

しかし、これらの薬でも全く副作用がないわけではありません。

今回の症例では、劇的な効果を得られたと同時に、ある程度の副作用も認められました。

 

症例

チワワ

 

顔面の変形を主訴に来院しました。現在の状況と原因を調べるために、麻酔下でのCTと生検を行いました。

 

腫瘍の浸潤がみられます。CTによる3D画像でも変形が一目瞭然です。

病理  鼻腔癌

 

手術が行える状況ではないので、分子標的薬を中心とした治療を選択しました。

 

 

治療薬 トラセニブ(パラディア) フィロコキシブ(プレビコックス)

 

投与2週間で顔面の変形が無くなり、見た目での腫瘍は消失しました。

 

その後、角膜障害、膵炎などの症状が出ております。パラディアとの因果関係が証明できるものではありませんが、年齢などを考えると、少なくとも影響を与えていると思います。

 

現在、発症から1年以上を経過し局所の再発は認められません。腫瘍の悪性度を考えると、無治療であれば、生きていることは出来なかったと予想されます。

現在の様子です。

左目が白く濁っていることがわかると思います。また、膵炎は一度起こすと頻繁に繰り返しやすくなります。現在も月に一度程度の嘔吐や食欲不振が見られます。

 

分子標的薬は比較的安全に使用できる抗がん剤です。

しかし従来の抗がん剤と同様に、メリットとデメリットをしっかり考えながら治療を行わなければなりません。

 

獣医師 松倉

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