犬の糖尿病(白内障を併発)|横浜市磯子区の動物病院「洋光台ペットクリニック」

症例紹介

犬の糖尿病(白内障を併発)

・症例

ヨークシャーテリア 去勢オス 9歳

 

・主訴

目ヤニが酷く、目がショボショボしている

 

・経過

初めは眼科の診療で来院されました。

目ヤニが目の周りを厚く覆っており、目が開きづらい状態です。

結膜充血も見られ炎症が起こっていることがわかります。

まずは点眼の治療から始めました。

その後目の症状は改善されましたが、2週間の間に体重が4.4kg→

3.9kgに減少してしまいました。多飲多尿(水をいっぱい飲み、おしっこをたくさんする)も見られます。また眼瞼の腫れが治まったことにより、見ることのできなかった成熟白内障(進行した白内障)が新たに確認されました。

↓やや見づらいですが、白く濁っているのがわかります。

 

・判断

糖尿病が白内障を引き起こし、それが炎症につながって目の症状を起こしていると考えられます。

 

・治療

根本の糖尿病の治療が最優先となります。

以下がその流れです。

  • 血糖曲線(試験的にインスリン注射をして、一日の血糖値がどのような推移を辿るかを観る)を作成
  • 定期的に院内で血糖値を確認しながら、実際にご自宅でインスリン注射をしていただきます。

 

・治療後

インスリン治療を開始して2日ほどですでに体重が4.38kgまで回復しました。

食欲も以前より上がっています。目の症状に関しては糖尿病がコントロールされ脱水が改善することにより、これからより良化することが望まれます。

このように、糖尿病は白内障という一見無関係であるように思える疾患を引き

起こすことがあります。

 

 

【糖尿病とは】

・原因

老齢、肥満、高脂血症、クッシング症候群など

犬では人でいう1型糖尿病(インスリンが出せない)が多いと言われています。糖を細胞に取り込むことができない為、血中に糖が残り体に吸収されることなく尿から排出されてしまいます。

 

・症状

体重減少、多飲多尿など

 

・続発症

※1糖尿病性白内障、糖尿病性網膜症など

※1高血糖状態

→目の水晶体というレンズに糖の代謝物が蓄積

→水晶体の浸透圧が上昇

→水晶体が腫大、混濁

→白内障

 

・診断

高血糖および尿糖(尿中の糖分)を検査で検出

 

・治療

基本的には一日2回のインスリン注射です。

血糖値は変動しやすい為、定期的に院内で測定してインスリンの

量を調整する必要があります。

また、体重管理を行って適正体重にする、適度な運動を行うことも効果

が認められる場合があります。

 


 

糖尿病は原則として生涯継続して治療が必要な病気です。

ですがその反面、適切に診断および治療をなされれば、比較的コントロールがしやすい疾患であるともいえます。

 

✓多飲多尿

✓ご飯を普通に食べるのに体重が減ってきている

✓眼が白い(白内障を併発している場合に限る)

 

などの症状がありましたら獣医師にご相談ください。

 

獣医師 笹木

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