犬の肛門周囲腺腫
犬の肛門周囲腺腫
症例 ビーグル 11歳 未去勢雄
主訴 他院で肛門周囲腺腫と診断されCTをご希望とのことで来院されました。
手術 麻酔下でCT検査及び両側精巣、肛門嚢周囲腫瘤の摘出手術を行いました。
病理検査結果
肛門嚢周囲腫瘤 肛門周囲腺腫
CT検査結果
肛門周囲腺腫
前立腺肥大
肛門周囲腺腫は犬の肛門周囲腫瘍で多く見られ、雄性ホルモンであるアンドロゲンが腫瘍の発生を刺激するために起こります。そのため、高齢で未去勢の雄によく発生がみられます。肛門周囲腺腫は一般的に良性腫瘍なので転移をすることはありませんが、腫瘤による排便障害や大型化することによる表皮の潰瘍に伴う細菌感染が起こる可能性があります。この病気はホルモン依存性なので腫瘤の外科的切除と同時に去勢手術を行うことで予後は良好となります。また、肛門周囲腺腫は早期の去勢手術を行うことで発生を未然に防ぐことができるため、若いうちに去勢することをお勧めします。そして雄性ホルモンの影響で前立腺が肥大、睾丸の腫瘍化が起こっていました。これも去勢により予防することができます。去勢は単に睾丸を取るだけではなく、様々な病気の予防にもつながります。なので皆様もぜひ、健康のために去勢をするという認識で当院でご相談頂けたらと思います。
獣医師 藤巻