橈尺骨骨折に創外固定術を適応した一例|横浜市磯子区の動物病院「洋光台ペットクリニック」

症例紹介

橈尺骨骨折に創外固定術を適応した一例

症例 トイプードル 8ヶ月 オス

 

前日にジャンプの着地に失敗し、その後左前肢を挙上しているとのことで来院。

X線撮影により左前肢の橈尺骨の骨折が確認されました。

 

骨折は形状により7種類に分類されます。

今回の症例は傷口の開放はなく、骨折線がひとつである為、単純骨折にあたりました。

骨折の整復方法は数多くあり、年齢や骨折の種類、骨折部位等に応じて選択されます。

今回の症例は、翌日に創外固定術による手術を実施しました。

下が創外固定術実施後のX線写真及び外貌写真です。

骨髄腔内にピンが入れられ、さらに4本のピンが体外から固定されているのが分かります。

 

術後23日で骨髄腔内に入れていたピンを抜去。

術後42日で創外固定を取り外し、経過観察のち治療終了。

 

下は術後227日のX線写真です。

骨折部位がほとんど分からないほど綺麗に治癒している様子が分かります。

 

今回実施した創外固定術は単純骨折で骨の変位が少ない場合に適応になり、骨プレート内固定術に比べ体内に残す金属が少なく済む点や、器具の取り外しが容易である点がメリットとして挙げられます。

一方で、写真の様に体の外側に器具が装着された状態になる為動物本人が気にしてしまい、活動性が低下する可能性がある他、感染症への注意がより一層必要となります。

先述の通り骨折部位や動物及び骨折の状態によっては創外固定以外の整復方法が適応となる場合も多くありますので、骨折が生じた際には整形外科の専門病院への紹介も含めた慎重な判断が必要となります。

また、一般的に若齢の動物の骨は柔らかく伸縮性に富み、たとえ骨折を伴う様な衝撃があった場合にも外側の皮質部分の連続性が失われる程度(若木骨折)で済む場合もあります。

しかし、ポメラニアンやトイプードル等の一部の犬種では若齢のうちから骨が硬く、強い衝撃があると皮質だけでなく骨全体が折れてしまう症例が多くあり、更に若齢でバランス感覚が十分に育っていないことも怪我の原因となりうるため、より一層の注意を配る必要があります。

まずは骨折の原因となりうる事象の予防の為に、ペットの生活環境の整備や躾に努める事が大切ですが、高い所から飛び降りた後に足を気にする等の怪我が疑われる場合には早めの受診お願いします。

 

獣医師 亀山

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