水腎症|横浜市磯子区の動物病院「洋光台ペットクリニック」

症例紹介

水腎症

・症例

ミニチュアダックスフンド 避妊雌 12歳

 

・主訴

慢性的な軟便と健康診断

 

・検査

触診:問題なし

血液検査:問題なし

便検査:問題なし

超音波検査:右の腎臓の中に液体貯留が確認され、腎臓が大きく拡張していた。

右の腎臓は水腎になっており、腹腔内の血管も圧迫されていた。

→水腎が確認された為、後日絶食をして以下の追加検査を行った。

 

IVP(静脈性腎盂造影検査)

造影剤を静脈注射して5秒後、5分後、10分後、40分後でレントゲン撮影を行いました。

 

 

レントゲン画像では、左の腎臓(青〇)と膀胱には造影剤が到達し染まっていますが、右の腎臓(赤〇)は染まっていません。

 

血液検査などを含めた以上の検査から、右の腎臓が水腎症である事が確認でき、左の腎臓の機能もしっかり維持されている事も確認できた為、麻酔下で右の腎臓の摘出手術を行いました。

また、摘出した腎臓を外部の検査機関に病理学的診断を依頼しました。

 

 

・診断

先天性片側性水腎症

 

本症例は慢性的な軟便がありましたが、術後、軟便はなくなりました。水腎により他の臓器が圧迫されて血流障害がおきていたことにより軟便になっていた可能性が高いです。

水腎症とは、何らかの原因で尿の流出が妨げられて、排出できない尿が腎臓を圧迫し、腎盂が拡張した状態のことを示します。

本症例での原因は先天的な異常による水腎症でしたが、水腎症を起こすその他の原因として、尿路結石・感染症・腫瘍・外傷・血餅など尿の流出障害を起こす様々なものがあります。

今回の様に片側性であれば無症状で過ごすことも多いですが、両側性や感染などの合併症がある場合には腎不全の症状や発熱、食欲不振、嘔吐などの全身症状も伴います。

水腎症を予防する明確な方法はありません。

定期的な健康診断を行って、尿路閉塞の原因となる疾患を早期発見、早期治療することが重要です。

 

田邊

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