膝蓋骨内方脱臼に装具を使用した一例|横浜市磯子区の動物病院「洋光台ペットクリニック」

症例紹介

膝蓋骨内方脱臼に装具を使用した一例

膝蓋骨脱臼は犬では種類、体格に関わらず頻繁に認められ、猫でも発生しうる膝の疾患です。

主に成長期に認められる為、先天性疾患であると考えられています。

 

主な症状としては痛みを伴う後肢の跛行、挙上、突然の力の抜けたような歩行等が認められます。

 

膝蓋骨脱臼は症状が重度である場合には手術が適応となりますが、他の基礎疾患の存在等により手術を選択しないケースや、無症状もしくは症状が軽度である為に経過観察を続けているケースも多くあります。

 

今回の症例は重度の膝蓋骨脱臼により歩行が困難になってしまいましたが、年齢や基礎疾患の存在により他の治療方法を選択したものです。

 

症例 ミックス犬(プードル×テリア)15歳 未去勢オス

 

初来院時(当時4歳)から両後肢の膝蓋骨脱臼が認められましたが、症状は重度ではなかった為に経過観察を行なっていました。

その後痛み等の症状の進行に伴い、5年程関節用のサプリメントを服用していました。

今年に入り膝蓋骨脱臼の症状が悪化、両後肢がぐらつき起立不能となりましたが、15歳という年齢、また他の疾患の存在から手術ではなく犬用膝装具(サポーター)の使用をご提案しました。

 

この犬用膝装具は東洋装具医療器具製作所から出ている製品で、膝関節と足根関節の屈曲・伸展を制限し、膝の保存療法を目的としています。

 

下の動画のようにサポーター装着前は起立の意思はありますが立ち上がれず、装着後はしっかりと自立し軽やかに歩行出来ています。

 

この様なサポーターはあくまでも膝の保存療法を目的としている為、膝蓋骨脱臼の根本的な治療にはなりませんが、動物の状態等により手術の実施が難しい場合の選択肢の一つとして有用である為、今回紹介致しました。

 

膝蓋骨脱臼は症状の現れ方に幅が広く、手術の適応になるか否かの判断の為にも飼い主さんの日頃の観察や定期的な脱臼の程度の把握が大切です。

また、後肢の跛行の原因となる疾患は膝蓋骨脱臼以外にも多く挙げられます。

何か不安な症状が現れた際には、早めの受診をお願い致します。

 

獣医師 亀山

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