猫の消化器型リンパ腫|横浜市磯子区の動物病院「洋光台ペットクリニック」

症例紹介

猫の消化器型リンパ腫

猫に多く認められる腫瘍としてリンパ腫という病気があります

リンパ腫は全身どこにでもできる癌で、様々な症状がみられます

今回は元気食欲低下を主訴に来院され、精査を行った結果、

早期に消化器型リンパ腫と診断することができた症例を紹介します

 

症例:日本猫 14歳 去勢オス

 

主訴:間欠的な嘔吐 体重減少

 

半年前の診察時には5㎏あった体重が3.8㎏と著しく減少していました

そのため血液検査・エコーを行ったところ、血液検査では大きな異常は認められませんでしたが、

エコーで腹腔内に2.6㎝の腫瘤を見つけました

腹腔内の腫瘤は消化管の附属リンパ節を疑うが、特定できないこと、血流が豊富にあるために針生検のリスクが高いこと、手術で取れるものかの判定が必要なことをなどから、CT検査をお薦めしました

 

CT撮影実施(7日後)

腹腔内中央に存在する1.7×9.5㎝リンパ節を疑う腫瘤で、

中央に大きな血管が走行していることを確認

手術を即座に必要とするような臓器ではないと判断し、針生検を実施

 

結果:細胞の形態を判定する細胞診に加え、遺伝子検査を行い高分化型リンパ腫疑いと診断

 

治療

細胞診からは、猫の消化器型リンパ腫の中でも悪性度が低いものであることが疑われたため、

飼い主様と相談の上、内服による抗がん剤治療を開始しました

 

今回の症例は幸い、抗がん剤内服による大きな副作用も見られず、

治療開始後から食欲・体重の増加が見られ、治療開始3週間後にはエコーで腫瘤の縮小も認めました

 

現在治療開始から約9か月がたち減薬を行いながら抗がん剤治療を続けていますが、

一般状態も腫瘍の再増大も見られず、良好に保たれています

 

 

今回の症例は3日に1回程度の嘔吐と、体重が減ってきたということで来院されました

当初、元気や食欲はあることから大きな心配はないかと思われていましたが、

体重減少が予想よりも大きかったために、検査を進めることで早期にリンパ腫と診断することが

できました

幸いリンパ腫の中でも悪性度が低かったこともあり、軽めの抗がん剤を使用したため

副作用も認められていません

 

お腹の中の腫瘍は目で見えないため、発見が遅れることが多いです

少し食欲が減ったかも、吐く頻度が増えてきたかも、というようなことから

今回の様な腫瘍の発見につながることがありますので、

気になる症状があるときは獣医師にご相談ください

獣医師 湯藤

 

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