猫の粉砕骨折手術|横浜市磯子区の動物病院「洋光台ペットクリニック」

症例紹介

猫の粉砕骨折手術

交通事故にあったところを保護された野良猫ちゃんです。推定年齢2〜3歳、茶トラで人懐こい男の子です。幸いにして内臓や肺の方にダメージは見つからなかったのですが、骨盤周辺に複数の骨折と脱臼があることが診察で分かりました。かなり痛々しい状況ですが、実は野良猫ちゃんの交通事故で骨盤の複雑骨折はよくあります。骨折していても、部位や症状によって手術をしないこともあるのですが、今回は保護された方と相談を重ねた上、手術することになりました。

▶手術経過

レントゲンではどうしても平面的な情報しか得られないので、縦と横のレントゲン情報を院長の頭の中で3次元に組み立てて手術を計画。手術中は、実際に入れているピンなどが思った位置に入っているか、レントゲンを確認しながら進めていきました。何度も調整しながら、仙腸関節の脱臼、大腿骨近位粉砕骨折を整復。骨髄内のピンだけでなく、創外固定という体の外に設置する器具も使用し、細かい作業の必要な手術になりました。

▶手術を終えて

手術は当初の想定より短い1時間半で無事に終了し、術後は痛みを抑えるために痛み止めをしっかり点滴。手術翌日からご飯をモリモリ食べてくれ、保護された方も一安心されていました。
骨盤骨折の場合、足が使えるようになるかはもちろんですが、排便排尿が自力でできるようになるかが、大きなポイントになります。術後炎症などの影響もあり、一時うまく排尿ができずに心配しましたが、無事に自分で排尿ができるようになりました。もちろん、歩行も可能です。
リハビリや創外固定をはずす処置など、まだまだ頑張らなくてはなりませんが、今は保護された方のお家で元気いっぱい幸せに暮らしています。

▶術後について

骨盤と大腿骨骨頭骨折の手術を無事に終えて、元気に退院した猫さんですが、骨の中にピンを入れただけでなく、体の外にも金属の器具を設置していました。退院後は元気余って自分でクッション材を取ってしまったり、器具で皮膚に炎症が起きてしまったりと、飼い主様にはちょっとドキドキの日々だったと思います。クッション材の交換や傷の消毒に定期的に通院してもらい、1ヶ月…レントゲンで骨の様子を確認し、晴れて器具を取りました。すっかり病院嫌いになって怖い顔をしていますが、歩く時もしっかり脚を使っていました。

そして先日抜ピンから2 ヶ月の定期検診に来てくれました。2ヶ月前には、まだ少し隙間があった部分もしっかり骨で埋まっています。もちろん歩行もできていて、元気いっぱいに暮らしているそうです。手術で刈った毛もすっかり生え揃い、ふくふくの可愛い猫ちゃんになっていました。
交通事故に合ったところを保護され、手術その後のケアと、猫ちゃんも飼い主さんも大変な夏だったと思いますが、すっかり飼い猫として幸せそうに暮らしているのを見て、とても癒やされた私達です。

獣医師 湯藤

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