猫の甲状腺機能亢進症|横浜市磯子区の動物病院「洋光台ペットクリニック」

コラム

猫の甲状腺機能亢進症

こんにちは。6月末に梅雨が明けてから、暑い日々が続いていますが、いかがお過ごしですか?

こまめな水分補給と適切に冷房を使いながら、熱中症にならないようにしてくださいね!

 

さて、今回は猫の甲状腺機能亢進症についてお話をしたいと思います。

 

 

甲状腺機能亢進症は中齢~高齢の猫にみられる病気の一つです。

甲状腺は喉の気管あたりにある小さな臓器で、甲状腺ホルモン(T4)を分泌します。

その甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気が甲状腺機能亢進症です。甲状腺ホルモンは代謝を活性化する機能を持ち、細胞の新陳代謝を高めたり、脂肪などからエネルギーを産生したりします。また、心臓にも働き、心拍数や血圧を上げる役割をしています。

ほとんどの猫種でみられますが、バーミーズ、トンキーズ、ペルシャ、アビシニアン、シャム、ブリティッシュショートヘアは他の猫種と比べて低いといわれているそうです。

 

 

<症状>

・食べているのに痩せてくる、太らない

・多飲多食(食欲低下もみられます)

・大きな声で鳴く

・目がらんらんとする(ぎらつく)

・攻撃的になる(甘えん坊になることもあります)

・下痢、嘔吐

・毛づやが悪くなる     などです。

 

甲状腺機能亢進症が原因で血圧が高くなっているために腎臓の血流が増えていることで腎臓病の数値が抑えられていることがあります。そのため、甲状腺機能亢進症の治療を開始し始めてから、血流は正常に戻るため、今まで腎臓の血液検査の数値が正常だったのが高値に出ることがあります。

 

 

 

<原因>

・甲状腺腫や過形成

・甲状腺癌

 

ほとんどが甲状腺腫や過形成であり、甲状腺癌は2%くらいといわれています。

 

 

<検査>

・聴診

・血液検査、甲状腺ホルモン(T4)検査

・触診

・レントゲン

・超音波検査

・血圧測定

 

 

<治療>

内科治療と外科治療がありますが、ほとんどが内科的治療の投薬が主となってきます。

お薬は甲状腺ホルモンの分泌を抑える抗甲状腺薬のチアマゾールを投与します。投薬をやめると甲状腺ホルモンが上がってくるので、生涯の投薬と定期的な診察と検査が必要となります。

 

療法食での甲状腺ホルモンのコントロールがありますが、このフード以外食事やおやつを与えない。など制限があります。また、療法食だけでは甲状腺ホルモンをコントロールしづらいこともあるので、そういった場合は投薬を提案させていただくこともあります。

 

外科治療としては甲状腺を切除する方法があります。稀ではありますが、若齢発症の仔や甲状腺癌に行いますが、大学病院や多くの手術経験のある病院に限られます。

 

 

<最後に・・・。〉

猫では甲状腺機能亢進がよくみられますが、犬では甲状腺機能低下症がみられます。甲状腺機能亢進症とは反対に甲状腺から分泌される甲状腺ホルモンの分泌が減少することにより起きる病気です。代謝の機能が低下し、太りやすくなったり、元気がなくなったり、脈が遅くなったりします。また、皮膚の細菌感染症をくり返したり、脱毛がみられたりします。

甲状腺機能亢進症の予防方法についてはありません。

ですが、ワクチンや定期的な診察、健康診断により、今回お話をさせていただいた甲状腺機能亢進症以外にも病気の早期発見早期治療を行うことができます。気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。

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