胆嚢の病気について|横浜市磯子区の動物病院「洋光台ペットクリニック」

コラム

胆嚢の病気について

こんにちは。15日に昨年よりも14日早く春一番が関東で吹いたと気象庁より発表されましたね。春を感じる日はまだありませんが、季節は少しずつ春へと向かっているんですね。暖かくなる日が待ち遠しいです。

 

 

 

さて、今回は胆嚢の病気ついてお話をしたいと思います。

まず、最初に胆嚢の役割について説明します。

 

 

 

<胆嚢の役割>

胆嚢は肝臓に付いている袋状の構造物で、肝臓で作られた胆汁を貯めておく働きをしています。胆汁の成分は主に、ビリルビン、胆汁酸、胆汁色素、コレステロールです。

食事などの刺激で胆嚢が収縮すると胆汁は胆管を通って十二指腸に流れ、脂肪の消化酵素であるリパーゼの働きを助けます。

また、赤血球の老廃物であるビリルビンは、胆汁中に排せつされ、胆汁と一緒に消化管に送り込まれ、最終的に体内から排出されます。消化管内に送り込まれたビリルビンは腸内細菌によってウロビリノーゲンへと分解され、ウンチの色である茶褐色のウロビリンと変化します。そのため、総胆管がつまって胆汁が排せつされないと白っぽい便になります。

 

 

 

<胆嚢の代表的な病気>

◎胆泥症

胆嚢内に泥状のものが溜まる状態のことを言います。胆汁はもともとさらりとした液状のものですが、何らかの原因で成分が変質し、泥状に変化してしまうことがあります。特に症状がないため、健康診断などの超音波検査で見つかる場合が多いです。

 

 

◎胆石症

胆嚢内にできる結石です。

胆泥が変質して石状になったものが胆石です。人の胆石症はコレステロールが結晶化したものが多いそうですが、犬の場合は炭酸カルシウム、ビリルビンカルシウム、蛋白などが割合として多いです。

胆石が総胆管につまると初期症状として嘔吐がみられることが多く、続いて食欲低下、黄疸などがみられます。胆石で胆嚢および総胆管が破裂することは少ないですが、はれつした場合は胆汁性腹膜炎を起こし、腹痛、発熱、腹水がみられます。

 

 

◎胆嚢炎

胆嚢に何らかの原因で炎症が起きている状態です。細菌感染や胆石などが原因で起こります。元気食欲低下や嘔吐、発熱、黄疸、腹痛がみられます。血液検査や超音波検査を行い、診断します。

 

 

◎胆嚢粘液腫

胆嚢の中にゼリー状の胆汁が溜まり、胆汁が正常に排出されない状態をいいます。重症化すると総胆管の閉塞や胆嚢破裂を起こします。

初期の場合は症状がなく、健康診断などによる超音波検査で見つかることが多いです。

進行が進むと、嘔吐や下痢、食欲低下などの症状がみられます。

さらに胆汁の流れが遮断されると黄疸や発熱、腹痛などの症状が現われ、胆嚢が破裂すると腹膜炎を起こすこともあります。

 

 

<好発犬種>

シェットランドシープドッグ、ミニチュアシュナウザーなどの犬種は遺伝的に脂質代謝異常や高脂血症が起こりやすいです。その他、小型犬種でも多くみられます。中高齢の犬や脂質代謝異常、高脂血症、甲状腺機能低下症や副腎皮質機能亢進症などの内分泌疾患をもつ場合は注意が必要です。

 

 

<治療>

症状がなければ超音波検査や血液検査などで経過観察しながら、内科的の投薬治療を行います。胆石、胆嚢粘液腫によって総胆管閉塞を引き起こしている場合、もしくは胆嚢破裂が起こった場合、胆嚢を摘出する外科的な治療を行います。

 

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