犬の尿酸アンモニウム結石症|横浜市磯子区の動物病院「洋光台ペットクリニック」

症例紹介

犬の尿酸アンモニウム結石症

尿酸アンモニウム結石症

【症例】ダルメシアン 去勢オス 3歳

【主訴】数日前から尿がキラキラしている気がしていたが、今朝から血尿になったということで来院されました。

【尿の様子】

診察時には血尿ではありませんでしたが、肉眼でも小さな粒がでているのが見えました。

 

【エコー検査】

エコー検査にて膀胱内に複数の小さな塊を認めました。

【尿検査】

尿を遠心分離すると、沈査が得られました。

顕微鏡では以下の写真に見られるような結晶がでており、ダルメシアンという犬種から、尿酸アンモニウム結晶を疑いました。

後日、尿の中に出てくる小さな結石を集めておいていただき、結石解析の検査を出したところ、尿酸アンモニウム結石という結果がでました。

 

【治療】

血尿に対しては抗生物質の投与を行い、数日で改善が見られました。

結石解析の結果を受け、hill’sのu/dを開始しました。

尿石症は犬にも猫にもよく見られる疾患です。尿中に含まれる様々なミネラル成分が結晶化し、

腎臓、膀胱、尿道などの泌尿器で結石となりさまざまな症状を引き起こします。

 

犬猫ともにシュウ酸カルシウムとストラバイトの2種類が代表的で、この2種で結石全体の

7~8割を占めるといわれています。

尿酸アンモニウムは稀な結石で、尿中の尿酸アンモニウムが増えることで形成されます。

犬種としては、ダルメシアン、ブルドッグが代表的で尿酸トランスポーター遺伝子(SLC2A9)変異に

よるものだと言われています。それ以外にも様々な遺伝子の変異で、その他の犬種でも見られることがあるようです。

門脈体循環シャントなどの疾患により、重度の肝不全がある犬や猫で見られることがあります。

 

尿酸アンモニウム結石は以下のような尿では形成が促進するとされています。

・高尿酸尿

・酸性尿

・高濃縮尿

・感染尿

適切な処方食(低タンパク食)を与えるとともに、水分摂取量を増やす工夫を行うことが重要に

なります。

 

軽度の血尿や頻尿は、無治療でも数日で症状が改善してしまうことがあるため、動物病院に行く

タイミングを逃すこともあると思います。

しかし、いつの間に大きな結石ができてしまい外科手術が必要になってしまうこともあります。

排尿の様子が気になるときは、ご相談ください。その際は、尿をご持参いただくと診察がスムーズです。

 

獣医師 湯藤

 

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