猫の乳腺腫瘍|横浜市磯子区の動物病院「洋光台ペットクリニック」

症例紹介

猫の乳腺腫瘍

・症例

猫  避妊雌 9歳

 

・主訴

数日前にお腹にしこりがあることに気付いた

 

・検査

触診:左第2乳頭と第4乳頭に直径2㎝の腫瘤を確認。右側にはなし。

聴診:雑音なし

血液検査:異常値なし

レントゲン検査:異常なし

 

乳腺腫瘍は乳腺にできる腫瘍です。

猫に発生する腫瘍のうち、皮膚腫瘍、リンパ腫に次いで3番目に多いとされています。

猫では約85−95%が悪性であり、良性の乳腺腫瘍は稀です。

また、腫瘍の直径が3㎝を超えると予後がかなり悪くなること(生存期間中央値:4−12ヶ月)から手術を行いました。

手術は左乳腺片側全摘出術を行い、同時に鼠径リンパ節の切除も行いました。

術後の経過も良好で、術創トラブルもなく、10日後には抜糸を行いました。

病理検査の結果は乳腺癌で左鼠径リンパ節への転移も認められました。

今後は再発や転移を抑制するため化学療法を検討する必要がありますが、定期チェックをしつつ出来る限りサポートして元気に長生きして欲しいと思います。

本症例はリンパ組織への転移が認められましたが、猫の乳腺癌の場合、リンパ組織に転移が無くても肺に遠隔転移する事があるので、定期的な胸部レントゲン撮影が必要になります。

犬と同様に猫の乳腺腫瘍も早期の避妊手術によって発症リスクを大幅に下げる事ができます。

ある報告では、6ヶ月齢より前に避妊手術を受けた猫では、未避妊猫と比較して乳腺癌のリスクが91%減少し、1歳までに避妊手術を受けた場合でもリスクが86%減少したとのことでした。

以上のことからも猫でも早期の避妊手術が勧められます。

 

獣医師 田邊

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