胃腸内異物|横浜市磯子区の動物病院「洋光台ペットクリニック」

症例紹介

胃腸内異物

異物による腸閉塞のため、開腹手術にて摘出した症例です。

症例は2歳のM.シュナウザーです。
嘔吐や主訴に他院を受診されましたが、はっきりした原因が分からず、
異物の可能性を指摘されたとの事で、催吐処置や内視鏡検査のご希望があり来院されました。

嘔吐は様々な病気で起こってくる症状の1つです。
そのため、検査により原因を探り、治療法を見つける必要があります。

まず行った血液検査では、CRP(炎症マーカー)の軽度上昇はありましたが、その他は大きな異常はみられませんでした。
次に、レントゲン検査、エコー検査を実施しました。
レントゲン検査では明らかに映るような異物はありませんでした。

また、エコー検査では胃内に液体貯留が認められ、胃から腸にかけて異物らしき物が確認できました。
以上の検査、年齢や症状から考えても、異物による閉塞の可能性が高いと考えられました。

レントゲン検査で映らない異物の場合でも、レントゲン造影検査で異物かどうか診断できることもあるため実施しました。
この検査は、造影剤(バリウム)を投与し、その流れ方を時間ごとにみていきます

バリウム投与直後

通常、バリウムは胃内に入ってから1~4時間で排出されますが、4時間後のレントゲン写真でまだ胃内に沢山のバリウムが残っています。

バリウム投与1時間半後

4時間後のレントゲン

翌朝のレントゲンでも、バリウムが停滞し、流れが悪いことが分かります。
時間が経過しても、形の変わらないバリウム陰影が異物です。

以上の検査により、胃から小腸にかけて異物が存在することが分かり、開腹手術が適応となりました。
小腸を切開し異物にアプローチしましたが、異物が胃内にまでつながってしまっており、容易に取り出すことが出来ず、胃切開も行っての摘出となりました。

今回摘出した異物は、赤ちゃん用のお尻拭きでした。
そのため、比較的丈夫な繊維でできており、溶けたり破れたりもなく、
また飲み込んでいる量も多かったため、詰まってしまいました。

摘出した異物

異物があった場合の治療法としては、催吐処置、内視鏡による摘出、外科的開腹手術が挙げられますが、前者2つにおいては胃内に異物がある場合に適応となります。
今回の症例の場合、連続的な嘔吐が起こっていたため、胃より先の腸管に流れてしまっている可能性が考えられ、催吐処置や内視鏡での摘出は難しいと思われました。
レントゲン検査で映らない異物でしたが、レントゲン造影検査を行ったことで、異物の存在や閉塞している部位を明らかにすることができ、早い段階で開腹手術に踏み切ることができました。

獣医師 川口

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