犬の避妊手術|横浜市磯子区の動物病院「洋光台ペットクリニック」

コラム

犬の避妊手術

こんにちは。9月になりましたが、まだまだ暑い日が続きますね。夏の疲れがそろそろ出やすくなる時期なので、こまめな休息を取りながら残暑を乗り切りましょう。

 

 

さて、今回は犬の避妊手術についてお話をしたいと思います。

 

 

<避妊手術とは?>

雌の生殖器である卵巣と子宮の両方の摘出もしくは卵巣のみの摘出により、永久的に妊娠できなくなる手術のことをいいます。

卵巣のみの手術でも、卵巣から分泌されるプロジェステロンというホルモンの分泌さえなければ、子宮は委縮し、子宮蓄膿症などの病気を防ぐことができます。当院では、子宮蓄膿症や子宮水種などの外科的治療を除く以外は卵巣のみの摘出手術を行っています。

 

 

<避妊手術の時期>

犬は生後5か月から10カ月で性成熟し、初回の発情が起こるため、生後6カ月から手術が可能となります。当院では、それに加え麻酔のリスクを考慮して、体重量が2㎏以上の犬に手術を行っています。成犬となっても2kgを超えない場合はご診察の上ご相談ください。・

初回発情前に避妊手術を行うと乳腺腫瘍の発生確率が1%未満と低くなると言われています。初回発情後でも乳腺腫瘍の発生確率は軽減されますので、ご相談ください。

手術は、発情中以外、体調面に問題がなければ行うことはできますが、発情終了後の1,2週間は陰部や乳腺の腫れがあるため、腫れが落ち着いたときに手術のご案内しています。

 

 

<避妊手術のメリット・デメリット>

メリット

卵巣・子宮の病気予防ができる

乳腺腫瘍の発生率を抑えられる

・発情時期のストレス軽減

 

デメリット

・ホルモンバランスの影響により太りやすくなる

・子孫を残せなくなる

・全身麻酔のリスク

 

 

『卵巣・子宮の病気、乳腺腫瘍について』

<乳腺腫瘍>

乳腺のところにかたいしこりができる病気です。中高齢の未避妊の犬に多く発生します。しこりの大きさが初めは小さかったものが急激に大きくなったり、3㎝以上の大きさのものは悪性度が高いため、手術を行い、外部の病理検査に出します。

犬では良性と悪性の確率が50%ずつと言われています。悪性の場合、リンパ節や肺への転移がみられることがあります。転移の確認はレントゲンや超音波検査で確認できます。

 

<子宮蓄膿症>

子宮内で細菌感染が起こし、膿が溜まる病気です。中高齢の未避妊の犬に発生します。

元気・食欲低下、多飲多尿、熱っぽさなどの症状がみられます。陰部からの膿や血混じりの膿が出ることがあります。

重度になると細菌による毒素が体中をめぐると敗血症や多臓器不全、子宮が破裂してしまうと腹膜炎を起こすことがあります。最悪の場合、死に至ることがあります。

 

<子宮水種>

子宮内に粘液状の分泌物が溜まる病気です。中高齢の未避妊の犬に発生します。

元気・食欲低下、多飲多尿、膣からの透明な分泌物などの症状がみられることがありますが、無症状のこともあります。

 

<卵巣嚢腫>

卵巣内に液体の貯留物がみられる袋状の病変です。中高齢の未避妊の犬に発生します。原因は加齢やホルモンの異常と考えられます。

症状は発情時の出血やおりものが少量ずつ長く続いたり、もしくは無症状なことが多いです。超音波検査時にみつかることがあります。

 

 

 

犬の平均寿命は数十年前と比べるとずいぶん延びました。それゆえに未避妊の犬による卵巣・子宮の病気や乳腺腫瘍の診察件数が増えてきました。今回、話の中に出てきた卵巣・子宮の病気や乳腺腫瘍は中高齢になる前に避妊手術をおこなうことで未然に防ぐことが可能な病気の一つです。

避妊手術は、メリット・デメリットがそれぞれあります。妊娠を考えていないのであれば、避妊手術をおすすめしますが、ご不安な気持ちもあると思いますので、お気軽にご相談ください。

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