猫回虫とは・・・!|横浜市磯子区の動物病院「洋光台ペットクリニック」

コラム

猫回虫とは・・・!

こんにちは!最近台風の影響で雨が多いですね☔

さて、今回は猫の回虫症についてお話していきたいと思います。

回虫症は、猫回虫という寄生虫が主に猫の小腸に寄生することで起こります。
成虫は長さ5~10㎝くらいの白い糸状の虫です。虫卵は球形から類球形で、便に排泄されますが、とても小さく肉眼では見えません。そのため便を顕微鏡で観察し、卵の存在を確認することで診断します。猫回虫の卵は表面が不規則にへこんでいて、猫の場合は感染しても回虫が幼虫のまま全身のさまざまな臓器で発育せず休眠状態になっていたり、無症状なことが多いのですが、子猫では、嘔吐や下痢等の消化器症状、太鼓腹、脱水、被毛不良、栄養失調、体重低下等の症状を引き起こすことがあります。稀に、吐いたものの中に白いそうめんのような形状の虫が出てくることもあります🌀

通常、便の中に出た卵は未熟な状態で感染力はありませんが、その後、砂場などの環境下で成熟し卵の中に幼虫がいる状態になると感染力が備わります。成熟までの期間は猫回虫で2~4週間した猫の便とともに排出された卵が土の中などでかえって、その幼虫が猫の口から入ることで感染します。また、猫回虫卵を口にしたネズミや鳥、ミミズ等を猫が口にすることで感染することもあります。
子猫の場合は、感染した母猫の体内にいた回虫がミルクのなかに混ざって出てくることで感染することがあります。また成熟した卵は環境中での抵抗性が強く、1年以上感染力を維持することもあります
回虫の感染は、ほとんどの場合、糞便検査で診断できます。治療は、駆虫薬の投与です。駆虫薬は腸管内にいる虫には効果がありますが、幼虫や虫卵には効果がないことがあります。そのため、一般的には2週間以上の間隔をあけて、複数回の投薬を行う場合が多いです。猫の回虫症は、重症になることはまれですが、子猫の成長に影響が出たり、消化器症状を起こしたりすることがあります。
回虫症は人獣共通感染症なので人に感染する可能性があるため注意が必要です😣

❓回虫の卵が猫の体内に入るとどうなるの❓
猫回虫の成熟卵を猫が食べると胃で孵化します。孵化した幼虫が胃壁に入り込み、血液やリンパにのって肝臓、さらに肺へと移行します。その後、気管から喉を通って食道に入り込み、胃から小腸に到着し、成虫になって、卵を産みます。感染してから6~7週間で便に卵が排泄されるようになります。

ちなみにげっ歯類などが成熟した卵を食べると、幼虫がさまざまな組織に移行しとどまります。これを待機宿主といいます🐭

❓猫が回虫症に感染する経路は❓

猫の感染経路は主に3つの感染経路があります。

●回虫卵
便の中に出た未熟な卵が砂場などの環境下で成熟し、卵の中に幼虫がいる状態になり、その状態の卵を猫が口にすることで感染します。

●母子感染
猫回虫は、大人の猫が感染すると幼虫が肺などの組織の中にとどまることがあります。その猫が妊娠、出産すると、母乳の中に幼虫が出てきて子猫に感染します。

●待機宿主
体内に幼虫を持っているネズミなどの待機宿主を猫が捕食することによって感染します。

❢駆除薬を投与しましょう❢

回虫を駆除するために、駆虫薬を投与します。駆虫薬には錠剤や背中に垂らすスポット剤などさまざまなものがあります。若い子や妊娠中などには使えないものもあるため、病院で相談し、処方してもらいましょう🏥

下痢や嘔吐などの症状があれば、そちらに対しての治療を一緒に行います。ほかにも猫がいる場合は、感染している可能性があるため飼育している猫すべてに駆虫薬を投与することが大切です。

❓投薬のスケジュールは❓
子猫の場合は、生後6週目から3ヶ月齢まで、2週に1回駆虫薬を与えます。その後は6ヶ月齢まで月に1回駆虫を行います。

成猫も定期的に糞便検査を行い、感染が認められたら駆虫薬を投与します。定期的な検査を行わない場合には3ヶ月ごと、年に4回の治療により寄生虫症のリスクが大幅に減ると言われています。

❓人が感染したらどうなるの❓
猫の回虫症は人に感染する可能性がある人獣共通感染症として重要な病気です。特に子供は公園の砂場などから感染することがあるため、注意が必要です。
人に感染した場合には、幼虫がいろいろな臓器を移行することで「幼虫移行症」を引き起こすことがあります。肝炎や肺炎、脳であればてんかん発作、眼であれば失明など、重大な症状が現れます。

❓猫の回虫症の予防方法は❓
子猫は母子感染の可能性があるため、糞便検査や予防的な駆虫が重要です。成猫も定期的に糞便検査を行い、駆虫薬を適切に投与しましょう。また、ネズミなどを捕食して再感染したりしないように、室内飼育にして外に出さないことも非常に大切です。

猫の便の中の回虫卵が感染力を持つまでには一定の時間がかかるため、便が排泄されたらすぐに処理するようにすると感染のリスクは低くなります。また、人が砂場で遊んだ後や、庭で土を触った後にはしっかり手を洗うことが大切です。

いがだったでしょうか?新しく家族として子猫ちゃんを迎える方も多いと思います。
回虫症は子猫ちゃんでは多い病気なので、お家にお迎えしたら便の検査はしっかりしましょうね🐱

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